「秋田時計は止まってしまったのか」   

今朝の新聞では、大潟村のペナルティを全量解消するとの報道があった。

国は、大潟村のペナルティを解消しない場合には、秋田県を戸別補償制度の適用が難しいとの考え方を出したため、県は国の考えを受け入れることになったという。

18日に国から文章で指示がくるのを待って、県は各市町村に配分をすることになっているという。
また各委員の中では、全県の農家に対する説明ができない、と発言をする人もおり、全県農家の反発があるのではないかと言う人もいる。

県の協議会で大潟村に今年もペナルティを科すことを決定したのに、国の圧力でそれを中止することになった。そのため、大潟村のペナルティ分を全県農家に振り向けることになったと説明すれば、全県の農家の反発を招くことは当然である。

米の消費動向や経済環境の変化により、市場では価格の高い米の消費が減少しており、新潟県のコシヒカリや秋田県のあきたこまちの消費の減少幅が一番大きい。
そのために、国からの秋田県に対する生産目標数量が減らされているのだ。

その原因を大潟村の農家が減反に参加しなかったからだと、全県農家に対して大潟村叩きの理由にしてきた。

しかし、そのことが今まで大きな問題にならなかったのは、大潟村では今までは大潟村の多くの農家が、ペナルティが多くて減反政策に参加できなかったから、「どうせ参加できないのだから、どんなにペナルティが多くてもかまわない」、との考え方があった。

また大潟村にペナルティを科し続けた県の協議会の方達も、大潟村にはどれだけペナルティを科しても、大潟村からは何も反論は出なかったので、手法の間違いに気がつかなかった。

今までペナルティを科す方も、ペナルティを受ける方も、ペナルティに対する考え方を安易に考えすぎてきたことが今回の問題の原因である。
県の協議会では、大潟村にペナルティを科す時に、大潟村の農家を「過剰作付者」と呼び、「大潟村のおかげで全県農家が迷惑を受けている」との発言を繰り返してきた。

そして大潟村の減反をしなかった農家に対して、あらゆる差別を行ってきた。
また、本来なら当然、施行してよい公共事業に対しても、意図的に遅らせてきたものもあるようだ。

国からペナルティがきていないのに、県独自で法的根拠の無い「公平性確保措置」というペナルティを科しておき、大潟村の主食用米の作付の権利を取り上げてきた。それでありながら、大潟村に対して、過剰作付者として批難し続けてきたのはなぜなのか。本当の理由は、大潟村の減反をしない人は少数者だから、何をしても反論できなかったからではないか。

しかし、新政権による新しい農業政策に、今まで減反政策に参加してこなかった多くの農家が参加することになったから大変だ。多くの農家が参加することにより、今まで参加しなかった方に対するペナルティを科すことができなくなった。

今までは県の協議会で大潟村にペナルティを科し、大潟村の水田協で減反政策に参加しない人に多くのペナルティを科してきた。大潟村で減反政策に参加しない農家は、県の協議会と村の水田協から二重のペナルティがくるため、減反政策には絶対に参加できなかった。今回、多くの農家が参加することにしたから、そのペナルティ分の面積を持っていく場所がなくなった。

一度かけ違ったボタンをかけ直すことをしなかったから、どこまでも間違いは直らない。

秋田県の生産目標数量が減少したのは、経済環境の変化や消費動向の変化により、高い米が売れなくなったからである。そのことを認識し、秋田県産米の品種の変更、販売価格の見直しに取り組まなければならない。

米が売れなくなった原因を大潟村の責任にするばかりでは、本質の議論ができず、効果的な対策が打てない。結果として、秋田県農業の再建はますます難しくなるのではないか。

私は明日、大阪の辻学園で、米めん専用レシピで調理した米めんの試食会を行う。
試食会には全国の営業員を同席させ、自分達が営業する米めんの味を体感してもらうつもりである。そしてその味をお客様に伝え、米めんの営業を通して、新規需要米の消費拡大と食糧自給率の向上に貢献したいと考えている。

また、1月14日、15日に卸の展示会で、米粉で造った小売用ショートパスタ(乾燥タイプ)を発表したところ、驚くような反応があった。

米粉で造った乾燥ショートパスタは全国で初めての商品のため、どこの量販店でも商品の紹介と同時に導入が決定することが多いという。

世の中の流れはとても速い。秋田県の時計の動きは止まってしまったのだろうか。

私達が40年以上前に秋田に来た時から、「秋田時計」という言葉があったのを思い出した。

by a-wakui | 2010-01-17 19:14

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