新しい安心基準   

四日間の出張から帰ってきたが、お盆明けの出張だったため、出張中も本社との仕事のやり取りがあり、とても忙しかった。

田圃の稲は四日間で急速に実入りが進んでいた。先日の大雨で若干傾きかけたのもあったが、その後の晴天で回復した。

四日間の出張の中で、放射能汚染対策をじっくり考えることができた。

協会では、8月上旬にお米の放射性セシウムについて、5ベクレル/㎏を協会の独自の安心基準として会員の皆様にご案内し、たくさんの励ましのお言葉を頂いた。

しかし、どうしても私の心に引っかかるものが残った。

それは、5ベクレル/㎏は国の暫定規制値500ベクレル/㎏に比較すると、100分の1であり、とても低い設定値ではあったが、消費者の立場からみると、お米からはどんな微量な放射性物質も検出されない方が良いに決まっている。

私自身も、原発事故により、放射性物質が微量なら検出されても仕方ないのでは、という諦めと妥協の心が芽生えていたのかも知れない。

しかし、妊娠中や子育て中の女性にしたら、放射性物質は食物には絶対に含まれて欲しくないものではないだろうか。そのことをお盆中に考えながら、改めて消費者の立場に立つということは、どのようなことなのかと考えた。

消費者としては、放射性物質の汚染については、日本中の食物が原発事故前の状況に戻れば良いのである。そのことがどのように確認できるのか、どのような状況になれば安心できるのか。生産者としての協会は、どのようにしたら良いのか。

そのことを考え、協会が設定した安心基準としての5ベクレル/㎏という基準値を、更に低くすることにした。

現在、公的分析機関で利用され、日々発表される放射性物質の測定に利用される「ゲルマニウム半導体検出器」の、お米の検出限界値1ベクレル/㎏以下を協会の新たな安心基準にし、ゲルマニウム半導体検出器で測定しても放射性物質が検出されないお米をお届けすることにした。

お米の場合、0.8ベクレル/㎏前後まで測定することができ、その数値まで測定しても放射性物質が検出されないと「不検出」、または「検出されず」ということになる。

本当にそこまで低くしても良いのか、協会の中でも、5ベクレル/㎏にすることでも大変だったのに、1ベクレル/㎏以下にすることで、本当に良いのかという、不安の声があった。

確かに生産する側として、1ベクレル/㎏以下を安心基準とすることは、とてもリスクがあり、万が一、少しでもあればどうするのかという不安があるのは良くわかる。また、私自身に一番不安があるのも事実だ。

しかし、お米を食べてくれる消費者にしたら、私達よりも、もっと大きな不安を持っているのではないか。

その消費者の不安を解消することが、私達生産者の側の仕事であるとしたら、新しい安心基準、1ベクレル/㎏以下をどうしても実現しなければならない。

by a-wakui | 2011-08-20 17:13

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