50年間の農業をそのまま見ているようだ   

今日は、東日本大震災の発生から4年目。
インドネシアのホテルでNHKのテレビ番組を見ながら、4年前を思い出した。


昨日も一昨日も、秋田は低気圧の影響で吹雪になった。
自然は、人間に優しく接するときもあれば、凶暴になって襲い掛かることもある。


日本は、数十年間、米余りに苦しんでいるが、世界では10億人以上の方が
飢えに苦しんでいる。
インドネシアの農業視察も今日で3日目。
今日も早朝に出発し、午前中はクボタ、ヤンマーの農機具メーカーを視察した。


10年ほど前には、水田で耕耘機を使う農家は1戸もなかったが、今はほとんどの
農家が耕耘機を使って耕耘、代掻きを行なっている。
4条植の手押しの田植え機を導入しようとしたら、田植えをしている地元の女性たちに
自分の仕事を奪うのかと怒られたそうだ。


インドネシアの工業化は進んでおらず、農業の近代化が進みすぎると、農村の余った
労働力の受け皿ができていないので、農業の近代化にはタイミングとプロセスが
重要である。
また、農家は貧乏で金がないため、国は農家に小型トラクターを無料で配布する政策を
進めているとのことだ。


しかし、トラクターの配布に対して、農機具メーカーのメンテナンスが付いておらず故障で
使えなくなるのが続出しているらしい。
また農家は、国から無料でもらったトラクターを大事に使わず、次も無料でもらえることに
期待しているとのことだ。


日本は、補助金を出すが、インドネシアは現物配布をしているのではないか。
農機具メーカーは、農家と直接話すのではなく、現地の代理店を通して、農家に機械を
販売しているので、農家の実態には詳しくないようだ。


午後から、インドネシア最大の精米工場を訪問した。
年間で14万tの精米工場だが、籾の乾燥設備も併設されている。
まだ稼働を始めたばかりであるが、販売先はいくらでもあるが、籾を集荷するために
どのようなシステムを構築するか検討中のようだ。
インドネシアの米の生産量は、日本の5倍もあり、4千万t近いので、今後、品質の高い
米を作るには、このような精米工場が300ヶ所も必要になる。


手植え、手刈り、生籾販売の農業に、農家から生籾を購入し、天日干しをし、籾摺り、
精米をしている精米業者が一体となっているインドネシアの稲作に対して、今回のような
近代的な精米工場がどのような形で運営されていくのか。


インドネシアの農業は、私が経験した50年間の農業をそのまま見ているようだ。
私も、牛で耕耘と代掻きを行ない、手で植え、手で稲刈りをし、稲は天日干しで乾燥した。
今は大型田植え機、大型コンバイン、大型乾燥機、大型籾摺り機を使っている。
そして、米は自分で精米し、自分で加工し、自分で販売している。


インドネシアの農業は、すぐに日本農業のようにはならないが、確実に近代化に
向かっている。
夜は、視察に同行した関係者と、今日の視察検討会を行なった。
明日、農村に行き、農業団体と会う予定だ。

by a-wakui | 2015-03-11 22:38

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