「生産調整の矛盾」   

19年度の米価の急落を受けて、生産調整の強化を始めようとしたが、生産調整にとって最も大事な転作奨励金(産地造り交付金ともいう)が、19年、20年、21年と3年間固定することにしたため、新しく生産調整面積を増やすにしても、増えた面積分の奨励金が増えることが問題になってきた。

一般の市町村では、3年間固定の奨励金のため、面積も参加者も原則として3年間固定を考え、そのように計画を立てた。
しかしながら、昨年の米価急落により、20年度の生産調整面積を急遽増やそうとしたが、肝心の奨励金が増やせない状況である。
また、既存の生産調整参加者から見たら、新しく参加者が増えるのは、自分の得るべき奨励金が減ることになる。
奨励金は、特定の個人や農地に対しての既得権益ではないので、参加者や面積が増えれば面積が固定した奨励金を配分しなければならない。
そうなれば、収入が減ることになる。予定していた奨励金が減ることは、農業収入が減ることになる。
単純に考えれば、生産調整面積を増やすのだから、奨励金総額を増やせば良いのだが、そう簡単にはいかないところに解決の難しさがある。

日本で一番生産調整に参加していない県は、千葉県と福島県だという。
千葉県は東京に近いから皆、自分で売ってしまう。福島県は地球温暖化により、それまで新潟の代表品種のコシヒカリが十分栽培出来るようになり、米がどんどん売れるようになったという。
では三番目はというと、秋田県である。その理由は、大潟村が生産調整に参加しないからだという。

生産調整は米が売れないから行うのであり、米が売れるので生産調整をしなければならないところに、もうひとつの矛盾がある。 
いずれにしても、39年前に始まった生産調整問題は、39年後の今も秋田県農業にとって、そして国の農政にとっても大きな問題であることは、今も昔も変わらない。

by a-wakui | 2008-03-07 16:18

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