「米の消費拡大のために」   

多くの農政学者やマスコミの方は、今までの日本の農業政策は、米に偏重してきたから農業は発展してこなかったという。本当にそうだろうか。

私はこのような論調を聞くたび、とても残念で悔しい想いがする。米の増産は、日本人の食糧を確保するためには絶対条件であり、そのため、農民挙げて米の増産に取り組んできた。

そして、昭和40年代初期にようやく米の生産が消費を上回るようになった。本来なら、それからが本当の農業政策の始まりであったのに、日本の農業政策は米を減産する政策に転換することになった。

それから40年間、日本の農業政策は米を減産することに全ての力を注ぎ、結果として米に偏重した農業政策といわれるようになった。

私はこのことを「米から逃げた農業政策」だったと考えている。日本が米から逃げた政策を続けているうちに、500万tにも及ぶ小麦がパンや麺として利用されるようになった。

1人の人間が一生に食べるデンプンの量は同じくらいといわれているが、減産した米の分を小麦で補っているのが現実である。500万tの小麦に代替できる米粉食品の開発ができれば、日本の農業は大きく変るのではないか。

100万haの減反面積から収穫できる500万tの米を小麦粉商品に代替するといっても、価格、商品の品質などが小麦粉より優位でなければ誰も買わない。

消費者1人1人は、自分の生活費と自分の味覚の中で商品を選ぶ。国の政策で選ぶものではない。その1人1人の消費者の選択肢の中に米粉商品をどのように入れてもらうか。

500万tの小麦粉が日本の食卓に上るまでに60年の歴史があり、そのために多額の資金が使われてきた。一方日本では40年間、減反の歴史にその何十倍も何百倍もの資金を使い、減反をすすめてきた。
国の農業政策のポイントとしては、減反政策に利用されてきた資金を米の消費拡大のために使うことができるか否かである。

by a-wakui | 2009-03-25 16:49

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